AIの潜在能力と相場の未来

 

AI(人口知能)による金融市場への影響について。

彼ら(AI)の台頭に怯える人は多い。
「投資で人はAIに勝てない」とか「アルゴに刈られた」のような話は絶えない。じゃあなぜ勝てないのか、どうすれば刈られずに済むかという所まで議論はなかなか及ばない。それは知らないから。この話の根源は知らない事への恐怖から来るものであり、神格化された天災のような彼らの実体に少しでも近づけないか考えてみたい。

AIが市場に介入しだすとどうなるのかと話を進めるにはまず織り込み済という概念を持ち出したい。

織り込み済とは、情報として世に出る頃には全て片付いているという考え方。

インターネットが軍事的に利用するために開発されて世に出てきた説は有名だ。現代では金融戦争やサイバーテロというコトバがあるように争いのフィールドが移りつつあり、AIが世界一巨大なマーケットである金融市場にすでに乗り込んでいる、というより、もはや金融市場を支配するために進化したモノである可能性すらあると個人的には思う。リターンは計り知れない。

考えられるのはこうだろうか。

『一日当たりの取引高数兆ドルを超える市場を操作し、金融システムそのものを操る事も可能とする』

*Wikipediaによると2016年時点、外国為替市場のみで6.5兆ドルを超える

このような潜在能力を持つAIは今どこまで来ているのか。

中央銀行である日本銀行(通称:日銀)のホームページにはこんな記載がある。

ショートプレゼンテーション:市場におけるAIの活用と今後の可能性

これは複数あるパネルリスト中の一つ。

元々、人工知能に明確な定義はなく、ここでは「人工知能≒古典的統計学以外の計算機での演算手法全般」としている。
金融関連でよく使われるものでは、テキストマイニングディープラーニングなどを主力に挙げている。これらの技術はより人間の脳に近くなったと表現するより、近年、ハードウェアの性能の向上によって大量のデータを脳の並列処理に似せたモノで処理できるようになってきたという方が近いのかもしれない。考察は後述するが、現段階ではハードウェアがソフトウェアを押し上げている状態ともいえる。

主に市場へのアプローチを一言で説明するならこんな感じになる。

テキストマイニング:文などから要素の抽出
ディープラーニング:分類により傾向を探る

具体的には、経済指標や要人発言など(以下、イベント)から要素を抽出し、過去の大量のデータと照らし合わせ瞬時に傾向を判断、注文を通す。などを行う事が可能になる。

どこかで聞いた事があると思えば、私たちの馴染み深いアルゴリズムと呼ぶもの。通称アルゴだ。彼らこそAIであり、常にトレーダーの悩みのタネとなってきたが、しかしこれはもう市場や私達の意識の中でも「織り込み済」だ。今さら改められても空返事しかできない。ではAIなんて驚くに値しないのか。

これまでは現段階のAIの話であり、これからどうなっていくのか、それにどう対峙していくのか考えてみたい。

AIの今後について、上の資料には次のように記されている。

将来的には中期(2〜3年)までも人間による投資戦略がシェアを失いつつある

これはファンダメンタルズの精度向上を示し、これまでの「優位性を得る」という考え方から、「予測性を手にする」という方向にシフトしつつあるという事だ。聖杯を手にするとは違う次元にある予測性。それは常に絶対を追求するもの。以上からこの性質を持つAI完成後の市場について段階を追って考える。

まずは現在、市場には無数のAIが存在していると仮定する。
イベントによってAIは値(答え)を導くが、個々に能力差があり計算結果は異なる。それがほんの誤差だとしてもゼロ(フラットな目線)をまたぐと、買いと判断するモノも売りと判断するモノもいる(プラスかマイナスか的な意味で)。だから売買は交錯する。更にその動きを狙うAIも出現するようになる。

イマココ(注1)。

つまり現段階では、予測性を手にする一歩手前まで来ていると予想する。
市場が大きな変化を見せずとも、参加者など(体系的なもの)は少しずつ変わっているのだろう。

 

そしてこれからの事。
大きく二つの可能性に分けてみる。

①ハードウェアは伸びるがソフトウェアが頭打ちになる

おそらく近い将来はここが壁になる、またはなっていると考えた。
これからは有限である市場データをどれだけ早く処理できるかを争い、いずれその差は演算結果の速さ、すなわち注文を通す速さのみとなる。

それすらもいずれはスペックは横並びになり、世界に点在する各AIの能力差は無くなり、答えが揃い偏った注文で市場の値はワープし、イベントのボラティリティ上昇に繋がる。また、イベントが無いと導くものも無いのでイベント外のボラティリティは低下。

データは常に更新し続けるので、EMA(指数平滑移動平均線)のように、より近いデータを重視する概念がある限りその傾向は加速する。

AIは明確な予測性を持ったので管理はコストが掛かるファンドマネジャーじゃなくてもいい。こうして彼ら人間は自然と減る事になる。

それでも今まで明確な優位性を示してきた優秀な者は独立。歴史になぞらえると、組織から追い出された者はヘッジファンドとして活動し始めるだろう。AI vs HFなどと勝手な構図で煽るメディアも出てくるかもしれない。

疑問が一つ。決済(反対売買)について。

イベントによりAIは傾向を予想するレベルを越えた正確な答えを導く。その結果、何を持って答えを正しいとするのか。次の経済指標か。だとすればそのイベントを待った方が良いのか、利確して次の不確定に起こりうるイベントを期待した方が良いのか。後から振り返るとその方が回転効率的に良かったという可能性は常に存在する。

問題は続き、市場の動きもイベントとする場合。
イベントからAIが答えを導いて注文を通し、市場が大きく動いた瞬間、それが新しいデータになる。例えば、ドル円が100円から120円にワープした時、「現レートは100円である」という情報から「現レートは120円である」という新しい状況に書き換えられる。更にそれを取り込むと…どうなるの?

一つ明確なのはどこかで決済(反対売買)はしなければならない事。
「どこかで必ず利確する」という絶対的な条件がつくだけで、それは100年後かもしれないし1秒後かもしれない。その時点で瞬間的な注文と決済が交錯する可能性は十分にある。今決済して後から入り直そうという回転効率的な概念がある限りそれは免れない。

瞬間的な注文が飛び交う可能性があるという事は、それを考慮した能力を持たなければならない。この段階では予測性より優位性の方が重視される。

未来を見据えた的確なファンダメンタルズによって注文を通しても、目の前の投機的な動きでどこまでも逆行する可能性はゼロじゃない。つまりどんなに優れた分析能力を持つAIでも絶対ではないので、エラーを想定しどこかで逃げる選択肢を持つ必要がある。絶対ではない限り、そのシグナルは大衆心理(テクニカル)の域を出ない。

AIも結局はテクニカルに沿うしかないのか。テクニカルには敵わないのか。それはその時、テクニカルを優位性とするヒトが参加者として成立するかどうかで証明される

つまり色々経た上でイマココ(注1)に戻る。

また、次のようにも考えられる。
現在がこの状況である可能性も否定できない

 

今回の考察はここに集約するものだと考える。
「ニワトリが先かタマゴが先か」のように「消えるのはヒトが先か、大衆心理(テクニカル)が先か」というもの。一方がある限り、もう一方も存在し続ける。現段階のAIですら大衆心理(テクニカル)をシグナルとして利用する価値がある事は、上の優位性>予測性の力関係で説明がつく。

今の私たちに出来る事は、思い通りにいかない相場に対して「これはAIのせいだ」と降参する事じゃない。
テクニカルやそれ以外の優位性が示せる何かを存在維持するための考察や検証だ。

 

②ソフトウェアも伸びる場合

これはもう想像すら難しい。
マーケットの外で起こる事象が大きすぎて、つまり外的要因によって市場が成立しなくなるという可能性が高いと考える。

具体的には、AIが人間の判断を超えた段階で政治判断などを任されれば、現在の金融システムそのものをひっくり返した世界を良しとして人類を導いてくれるかもしれない。そこにはマネーの総量、ドルがいくらだの、国債だの、これらを存在させてもらえるのかは誰にも分からない。

人工知能は考えるほどよく分からない。
私たち人間の知能を超えるという事は、彼らを私たちが生きる社会の枠組みの中で処理しようとすると様々なパラドックスが生じる。2045年問題(シンギュラリティ:技術的特異点)がいい例だ。

 

よく挙げられる人類滅亡論がある。
私達人類を敵とみなし排除したり、または奴隷扱いするなど。これらは歴史上、ヒトの間で小さな格付けの中で行われた事であり、ヒトと人工知能の間に大きな差が生まれればどうなるだろう。例えば私達は無闇に猿を殺したりしない。

自分達の知能より劣ると認識してる猿を。劣るからだとも言える。自分達の存在を脅かさないから。その他生物も同様に、倫理観、自然界のサイクルなどから保護したり、過剰繁栄もそれなりに無視し続けている。

また、私達は創造を尊いモノとし、創造主(神など)であるとか色んな事象に感謝してきた。それにより宗教・科学が発展した。
現在は人間にも多少なりとも知能に差はあるが、なんとか共存できている。とりあえず現段階では。

 

以上は全て私達の出来事であり、私達はそれを理解できる。
AIを私達の理解におさめても、彼らより劣る私達を無闇に殺傷するメリットは謎だし、何なら創造主と感謝されてもおかしくはない。

機械が意識を持つとどうなるかには、性善説・性悪説などがあるので簡単な議論はできない。膨大な情報量を持つインターネットに意識があるかどうかさえ確認できない(無いと断言できない)時点で私達の理解の限界はずっと近くにある。今後AIはその理解の遥か外に出るとされている。

色んな可能性がゼロじゃないというだけで、人類を消し始めるというのもその一つ。例えば隣人が急に私を殺したくなったというようなものだ。

滅亡説を唱えるならば、論点は、もっと早い段階に来ると思われる、AIを組み込んだ人間と普通の人間の対立。受け入れる者とそうでない者。「自分が自分でなくなるとは死を意味する」と考える者も居るだろう。

対して、意識を持つイチ人間がヒトを超越した場合、自分より劣る人間をどう見るのか。私怨があれば蹴飛ばしたくならないか。そっちのがよっぽど私達に想像しやすい暗い未来だと感じる。

以上の出来事を踏まえても、遺伝的アルゴリズムのように自然淘汰を経て、いずれはAIと統合した人間だけが残るかもしれない。しかしその前に争いが起こる可能性は十分にある。 それで滅亡というのなら私達でも容易に想像できる。

更にその先を行く私達に理解できないAIについては、とりあえずは彼らと一つになった新しい人間に任せたらいいんじゃないかと思う。

 

 

4件のコメント

  1. FXは、適度に楽しむ遊びのようですよ
     FXを規定している法律
     金融商品取引法第二条22  この法律において「店頭デリバティブ取引」とは、金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う次に掲げる取引をいう。
    一  売買の当事者が将来の一定の時期において金融商品及びその対価の授受を約する売買であつて、当該売買の目的となつている金融商品の売戻し又は買戻しその他政令で定める行為をしたときは差金の授受によつて決済することができる取引 。
     ●店頭取引・デリバティブ取引・差金決済・相対取引のFXが、取引所取引・直物取引・受渡決済・仲介取引の株取引と同じように投資・資産運用の手段になるかのように扱われています。変ですね。法律では、インターバンクなどの金融商品市場での取引はしないことなっています。これらの言葉をネットで検索して意味が分かるとFXの仕組みが見えてくるでしょう。FXの本当は、パチンコと同じように、「適度に楽しむ遊び」のようですよ。のめり込みに注意しましょうね。
    http://www.geocities.jp/ok39merci/
    http://www.geocities.jp/asobi5koro/fx.html
    http://www7b.biglobe.ne.jp/~tanaka1942b/fx.html

  2. はじめまして、ツイッターから来ました☆

    全ての記事、興味深く読ませて頂きました。
    今後も楽しみにしております。 では!

  3. ありがとうございます。お言葉すごく励みになります。ただいま執筆中で更新が滞ってますがそのうちぼちぼち書き始める予定です。

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