レンジの定義が無い理由。脳と相場のポリリズム。

 
まえがき。

結論から言うと、レンジは手を出すべきじゃないという内容。

トレンドフォローが殆どの手法を占めている現代では当たり前に言われている事だ。トレードをするにもこの認識だけで十分だと思われる。

しかし損切りが続くとどうだろう。
今まで通りの手法を今まで通りのメンタルのまま守れるだろうか。

じゃあ20連敗したら?
思わずレンジに手を出したくならない?

と、色んなパターンを想定しても今日の平常心が保たれている自分で答えは出せない。
そんな状況に立たされた時、その判断力は手法の特性の認識、相場認識の差で決まると私は信じている。

今回は投資界隈で常識とされるレンジは手を出すべきじゃないを出来るだけ分解してみたい。子どもがおもちゃをバラバラにするような感じで。

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多くの人がトレンドフォロー、レンジオプション的戦略で分かれている。

更にその殆どはトレンドフォロー。
右も左も分からない頃からトレンドには逆らうなと私たちは教えられてきた。

教材に、ブログに、SNSに。

『●●相場にミセスワタナベまたも逆張り』

的な見出しを目にすることは多いが、これは抱えられた含み損の集合体であって戦略とは言いがたい。

基本的にトレンドフォローを順張り型、レンジ戦略を逆張り型とされるが、ここで論じたいのはどちらが優位かというものではなく、相場環境に適した手法を執っているか、また手法に適した相場環境を把握できているかという点から入っていきたい。

手法に逆張りという状況がある。

例えば、レンジの最中に移動平均線(以下、MA)をなみ縫いしたチャートを描いている時、トレンドフォローの花形である『MAのタッチで逆張り』を繰り返せばその度に損切りを迫られる可能性が高い。
また、レンジ相場に上限と決めた所で売るのはチャート的には逆張りだが手法には順張りである。という考え方。
 
 
画像1 MAをなみ縫いしたチャートの例


 
 
手法の特性を把握できていなければどんなに優れたモノも武器にも凶器にもならない。
優位性も劣位性も無ければ、スプレッド分(手数料分)負けていくだけだ。

特性とは手法が活きる環境とそうでない環境の認識。結婚でいう「病める時も健やかなる時も」だ。
他人の手法が使い物にならないという通説は、単純にその手法の事を知らないからで説明がつく。

包丁は一般的に料理で使用する道具だが、殺人犯が手に取る時は武器として見ている。
更に分かりにくく言うと、わき見による交通事故が絶えないのは時に車が凶器に変わる(代わる)意識が無いのとこれらは似ている。

目的が変われば結果が異なるのは何に置き換えても同じだ。
 
 
 
全ては環境認識に始まる。

環境とは相場状況。その判断基準はファンダメンタルズ的な材料だったり、テクニカル的なチャートの形成(形勢)だったり、人によって両者の比重は異なる。

目的は環境を認識するのであり、私が特に注意しているのは上か下か判断するものではないという事。戦略を立てる際、予定した時間軸で動くとは限らないからだ。

「さあトレードするぞ!」と姿勢を正して市場に臨むと、脳は「エントリーするぞ!さあ上か下どっちだ?」と無意識に都合の良い材料を探し始める。

テクニカルなりファンダなり、これまでの脳のストック(経験)から買いだの売りだの大雑把に判定する。このとき口からは「なんとなく、相場観」的な言葉が出てくる。こうなれば好材料以外をインプットしなくなる。

そんなのよっぽどポジティブな人だろうと思うが、むしろ逆で、市場に資金と自信を取り上げられたばかりのネガティブな状態ほどこの心境に陥りやすい。

人は追いつめられると環境認識に割く時間すら惜しくなる時もある。資金と自信だけでなく機会すら失うことを何よりも恐れてしまう。

今日まで機会損失というコトバで多くの人が犠牲になってきた。対して、一日中無心でチャートを眺めていられる人も存在する(時間を持て余す専業トレーダーとか)。
余計なバイアスが無いフラットな気持ちで臨む環境認識と、トレードをする前提で姿勢を正した環境認識。

たかが気持ちの問題が明日の運命を決めるのは市場においては日常の一つだ。
 
 
 
本題のレンジとトレンドに移りたい。

レンジは非常に難しい。動意付いた市場が何かに引き寄せられるように動いていくトレンドに対して、レンジとはそれ以外

トレンドじゃない全ての動きがレンジであると個人的には考える。ファンダメンタルズなど材料が全く無い、または材料同士が打ち消し合いエネルギーがゼロの状態を指す。私的。

*私は全てのトレンドが材料の初動(インパクト)だと考えているので、そのインパクトが消えた状態をレンジとしている。
トレンド継続の二波に続けば、それは材料のエネルギーが続いているとする。

また、大衆心理による投機的な買われすぎ売られすぎという考え方がある。

しかしそれは「いつ買われすぎるか」という予想は立てられず過ぎてしまった後に「今回は買われすぎた」と分かる事なので、この現象は確率の偏りの範疇と処理する。

一般的かどうかは知らないが、よくあるレンジの認識とは、高値を上限、安値を下限としたボックスを作り、その中でラリーしている状態を指す事が多い。
 
 
画像2 ボックス内をラリーするレンジの例


 
 
 
話を進める為とりあえずこの画像2を一般的なレンジの定義とする。勝手に

そして私の意見はトレンド以外をレンジと認識すると上では書いた。この考え方は一般的なレンジの認識とは若干異なる。

しかしトレンド以外では抽象的すぎるので戦略や手法を立てようがなく何の意味もない取り決めだ。
これをきちんと整理し、一般的に、大衆に、何でもいいが少しでも多くの人が納得できる解釈を示す必要がある。
個人的にもレンジを定義し、そこから戦略や環境認識のヒントにならないか考えてみたい。

先に、あまり好ましくないが、上の「一般的なレンジ」を否定する形から入りレンジらしく定義の上限を広げていこうと思う(?)

一般的なレンジはボックスを作るとあるがその最中でも小さな揉み合いがあり、つまりボックスの中にボックスを作る場合がある。

ということは現在、上限・下限を定めているボックスも更に大きいボックスの中に存在している可能性も考慮しなければならない。マトリョーシカ的な。

例えば高値圏での揉み合い(高止まり)はブレイクアウトを期待してしまうが、しかしこの時ボックスを出たと思えば上位のボックス圏に移っただけという場合もある。上がった値はレンジなのでまた下に戻っていく。さっきのボックスを忘れたかのように通過する事もある。

しかし上限を広げたらすぐに下限を広げるとは限らない。上に50pipsブレイク後に戻したからといって、次は下に50pipsブレイクするとは限らない。
上に二日かけて上限を伸ばしたからといって、戻した時に下限を広げるのに二日かかるとも限らない。

要するに値幅・期間ともに対称性は全く保証されていない。ボックスからボックスへの移動に規則性を見出せないのならトレードは控えるべきだと考える。
 
 
画像3 ボックスからボックスへの移動例


 
 
 
下の画像4のようにV字を描いて戻していく場合も多々ある。折り返し地点を中心とした綺麗なVの字。
中心点の左側を参考に売買が行われる。これは市場の動意付いた動きと私は認識している。

つまりトレンドの一つだ。上限や下限、同じラインで反発し、また別のラインを目指していく。意識された値に引き寄せられるエネルギーである事に変わりはない。
 
 
画像4 V字を描きボックス内を行き交うトレンド


 
 
 
以上からまとめると、

①ボックス間の移動は気まぐれに起こり得る。
②折返し地点を中心とした対称性は保証されない。
③明らかに意識された②はトレンドに分類する。
④ ①、②、③はいつでも起こり得るものとする。

ランダムそのものがレンジであるという認識に近い。

このランダムの中にはもちろん非ランダム(規則性)が見られる場合もある。例えば、円周率の中に9がn個連続したとしよう。その連続した9の部分だけを切り取ると確かに「9が連続している」という規則性を持つが、全体(円周率8兆桁など)でみるとほんの気まぐれ、確率論でいう偏りに過ぎない。

ランダムは非ランダム(偏り)が入る余地すらランダムなのだ。これは上でいう②と③に当てはまる。このランダム間に非ランダム(規則性)が内在するという考え方は疑似相関に詳しい。

*現在円周率はランダムと証明された訳ではない。また小数点以下762桁目に9は6個連続し、564,665,206桁目には9個連続する。

ボックスのマトリョーシカの中で利益を生むのは簡単な事ではない。それはボックスを移動するかどうかさえランダムである可能性を上で説明した。

過去チャートから規則性を見つけるのはカンタンだが、リアルタイムでそれが見つけられるのはまた違う話だ。このような錯覚はシミュラクラ現象(3つの点が集まった図形を人の顔と見るようにプログラムされている脳の働き)に似た現象が起こっているのだろう。

ヒトはチャートを見た時、脳のメモリから似た形を引っ張り出し目の前のチャートと照合する。この時、規則性を持つ形はいくらでもストックできるのに対し、ランダムはランダムとしか脳は認識できない
目の前のランダムウォークしたチャートを過去に当てはめる事ができないのだ。それができればそういう形の規則性であるので当たり前だ。

また規則性を持たないと記憶出来ないのは脳のメモリ容量(短期記憶)の問題もあるだろう。コンピュータを例に挙げると分かりやすい。

とある二つの数列(九桁)のデータ容量で考えてみる。

“999999999”を保存するには「9を9個」と圧縮できる。繰り返し処理的なコンピュータ演算の考え方でもある。

一方で、”011235813″(ランダム)の数列を保存するには、そっくりそのまま”011235813″と保存する必要がある。

データが大きくなるほどこの容量差は開いていく。
ヒトの脳はこういった効率の悪いデータは見たり聞いたりしたそばから抜け落ちていく。奥にしまい込む前に。

しかし、脳のスペック的に規則性を見つけられるかどうかには個人差があるので、レンジ(ランダム)と認識する範囲もまた人次第という事になる。

例えば、上にランダムとして挙げた”011235813″が実はフィボナッチ数列であると見た瞬間に気づく(感じる)人も世の中には存在する。そういう人にはこの数列が一つの規則性を持つデータとして処理できている事になる。

更に稀な例として、24時間データを更新し続けるランダムなチャートをランダムのまま記憶できる人の存在も否定できない。この能力は紛れもなく天才でしかない。

*規則性という点で市場のチャート分析には、一般的なIQ(知能指数)を計測するレーヴン漸進的マトリックスに非常に似ていると個人的に感じる。
ヒトのIQと投資能力に相関や因果関係があるのか、知能というタブー視された角度からのアプローチもまた違った形で詳しく調べて書いてみたい。

こういった個人差が、長年の相場の歴史をもってしてもレンジを明確に定義できない一因になっていると推測する。「ココをこうやってこうして、ココがこうなって、ココからココまでがレンジです」と言われても大抵の人は理解できない。

上で勝手に決めた一般的なレンジの定義のようなカンタンな説明(良く言うと研ぎ澄まされた説明)のみが広まるのも自然な流れなのかもしれない。

結局のところ、トレンドとレンジを判断する基準は人次第とした。明確な定義は無いので、自分で基準を作らなければ何の判断も下せないのだ。
機械的にインジケーターやオシレーターをシグナルとするのか、ファンダメンタルズによって判断するのか、両者を用いるのか手法はそれぞれ自由だ。

迷うなら誰かの手法をとりあえず使ってみるのもいい。それでオリジナルが出来上がればいい。仮説をもってしか前に進めない学術的な新しい理論のようなものだ。もちろん誰かの手法が肌に合うならそのまま使い続けてもいいし。

理屈ばかりこねてもウンザリすると思うので(私も)、次の記事では実践的で応用的な、もはや「これさえあれば勝てる!」的な内容を書いていきたい。上でいう仮の手法を置いていくつもりだ。

どれだけ細かく分解し理解を深められるかは私の説明にかかっていると思うので、丁寧に書くので、時間が欲しいので。

2件のコメント

  1. 長めのブログですが最後まで一気に読みました次回もとても楽しみです

  2. ありがとうございます!
    いつもいただけるコメントだけがモチベーションになっています‍♀️

    確かに文字文字していて長いしちょっと読みにくいですよねー。切れ味のある一言をポロっとこぼして決めたいんですがなかなか…

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